大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(く)250号 決定

被告人 渋谷唯司

〔抄 録〕

(なお、本件の場合公判裁判所が本件保釈取消決定をすることができるかどうかについて検討すると、刑訴法二八〇条一項、刑訴規則一八七条一項によれば、公訴の提起があった後第一回公判期日までは、勾留に関する処分は、公訴の提起をうけた裁判所の裁判官で、事件に関与すべき裁判官以外の裁判官がこれを行なわなければならないとされており、右規定にいう「第一回公判期日まで」とは、形式的に第一回公判期日が開かれるまでと解すべきではなく、事件の実質的な審理に入るまで、すなわちいわゆる冒頭手続が終了するまでと解すべきであるところ、前記認定の経緯に徴すれば、本件は原審公判裁判所において冒頭手続を終了したものとは到底認めることはできず、また保釈取消決定は勾留に関する処分であることは明らかであるから、原審公判裁判所が本件保釈取消決定をしたのは、刑訴法、刑訴規則の前記各規定に違反し、違法といわざるを得ないのであるが、右各規定は、事件の審判に関与すべき裁判官に、事件につき予断をいだかせないために設けられたものであること、本件保釈取消決定は、被告人が召喚を受け、正当な理由がなく公判廷に出頭しないことを理由とするものであるところ、記録を調査しても、公判裁判所において、被告人の保釈を取り消すに際し、事実の取調をするなど、事件につき予断をいだくおそれのある行為に出たことを窺わしめる事情は認められないことなどを合わせ考えると、右違法は、原決定を取り消さなければならないほど重大かつ明白なものとは認められないから、これをもって原決定を取り消す理由とはなし難い。)

(綿引 石橋 藤野)

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